【あらすじ】

"幽霊屋敷"街外れにあるアーカンソウ一族の屋敷は

そう呼ばれている。現在の主人兼管理人はコトン。

彼女と一族の幽霊たちの暮らしは、平和そのものだった。

が、新聞の取材をきっかけに変わり始める。

コトンの心を揺らす、記者ハートランド。

屋敷の危険性を指摘する占い師デオンの登場。

一族は変化を拒み、屋敷には異変が…!

さまざまな不思議と謎をはらんだ屋敷、そして、コトンと一族の運命は…?



【感想】

作者が学者の人で、先に論文から入っているので、

純粋に作品として捉えることができなかった。

そのため変に感想が難しくなってしまった。うーん。


表紙の少女漫画少女漫画した表紙がかわいい。

コトンという愛称がぴったりな女の子だ。

これに対するラガーマンのような新聞記者ハートランドも

なかなかよい味を出していると思う。

鈍重な優しさはなかなか素敵。

問題はデオン。

本作の起承転結の要となる彼女だが

どうにもよろしくないと感じた。

彼女が持ち出すマーヒー染みたホラーな空気が

作品に馴染んでいないのだと思う。

方向性としてもっとファンタジーファンタジーさせた方が

設定も生きたんじゃないかなあ。とか言ってみたり。


コトンを囲む幽霊たちのキャラ造詣が魅力的で、

特に気の強いドナンや優しいロザロップが良かったと思う。

彼らと彼女が一同に会して対話しているシーンが好き。

後幽霊になって出てきてはくれないけれど、

彼女のおじいちゃんが素敵だった。

先代の屋敷の管理人であった彼は、コトンに、


「いいかい、おまえが書かなければ

一日は枯れた薔薇の花びらのように、

くずれてどこにもないものになってしまうのだよ。」(p.15)


と言って日記を書くことを約束させるのだけど、

自分が今日記を書いている主目的は忘れないためなので、

ほほうと思った

まあ、それは私個人の話だからどうでもいいっちゃどうでもいいのだけど、

物語の作中で記録されることの意味っていうのは考えてみる

面白いかもしれない。


最後に心底どうでもいい話だけど、タイトル打ち込む時

タイプミスして、『幽霊屋敷のオトン』になってしまい、

すさまじく悲しい気持ちになったことを付け加えておく。