【あらすじ】
「失われた人生を取り戻したい」と、突如家出してしまう妻。
残された仕事人間のテッド・クレイマーは慣れない家事と育児に
奮闘しながら、息子ビリーとのきずなを深めていく。
しかし、再び姿を現した妻が子どもの親権を主張、法廷で争うことに・・・。
子育てに翻弄しながら必死に息子の心を受け止める父親テッドを
演じるダスティン・ホフマンと、息子への愛の執着を真に迫る演技で
見せるメリル・ストリープら豪華キャスト陣で贈る、感動のヒューマンドラマ。
(amazonより)
【感想】
淡々とそれぞれの登場人物の気持ちをしっかりと描いていて
そこに好感が持てた。
突然家出してしまう母やイライラして息子に怒鳴り散らしてしまう父。
わがままを言い張る息子の姿にも納得がいく。
印象に残っているのは、父が妻の家出の原因が
自分にあることを息子に告白するシーン。
母の不在に悲痛な泣き声をあげた息子が、
父の話を静かに聴き、その涙を受け止め
部屋を出る彼の背中に、"I love you"と伝える場面に心打たれた。
後は裁判のシーンかな。
同じく親権争いの裁判を描いた『アイ・アム・サム』での
冗長な裁判シーンを思い出し、あー裁判か・・・と始った時は
ネガティブな気持ちになったのだけど、
本作では、全ての行動が客観視され、良くも悪くも語れてしまうという
その機能が遺憾なく発揮され効果的に働いていたように感じた。
父の答弁も良かったと思う。
完全ではないけれど、毎日朝ごはんを食べて一緒に家を出て、
そうやって僕達の生活を作っていく、みたいなことを言っていて
積み重なる日常の重みだなあと痛感。
それは母が出て初めて迎えた朝には全然上手く作れなかった
フレンチトーストを、物語の最後には二人で協力して手際よく
焼けるようになっていたというエピソードに繋がっていると思う。
蛇足だけど、この前観た『舞台よりすてきな生活』で、
「あなたを理解できる女性がいるの?」という問いかけに
主人公が、「僕ですらできない」と答えた直後、
妻と選ぶ基準に対して、「この女と40年間話し続けられるか」
と返していたことを思い出した。